宮城県仙台市 「次世代型都市「スマートシティ」 仙台・荒井東で事業構想」

次世代型都市「スマートシティ」 仙台・荒井東で事業構想

スマートシティー構想の本格的な検討が始まる仙台市若林区荒井東地区
スマートシティー構想の本格的な検討が始まる仙台市若林区荒井東地区

河北新報120124】日立製作所とNTTグループ4社は、東日本大震災の津波被災地の移転候補先になっている仙台市若林区荒井東地区で、環境負荷の小さい次世代型都市「スマートシティー」の実現に向けた検討を本格的に始める。地元の推進団体と連携し、2015年度開業予定の市地下鉄東西線の荒井駅(仮称)南側の区画整理事業用地内に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)を設け、公的施設などに電気を供給する構想。地下鉄開業時をめどに実現したい考えだ。

 グループ4社はエネルギー事業などを手掛けるNTTファシリティーズ、NTT東日本、NTTドコモ、持ち株会社のNTT(いずれも東京)。

 

地元の推進団体は荒井東土地区画整理組合の関係者らでつくる「アライグリーンシティ構想委員会」で、元東北大大学院教授の建築家大村虔一氏が委員長を務める。仙台市や東北大も協力するほか、地元企業などにも参加を呼び掛ける。

 構想はメガソーラーのほか、ガスエンジンなどによるコージェネレーション(熱電併給)施設を整備し、電気や熱を地区内で賄うようにする。木質バイオマスの導入も検討する。総事業費は数百億円規模の見通しという。

 荒井東地区の区画整理事業は約34ヘクタールに1600戸の住宅が建つ計画。土地区画整理組合は病院などの誘致を目指しており、発電した電気を供給する。現行法では供給が認められていない一般家庭に供給する方策も探る。

 組合は震災前から大村氏の助言を受け、スマートシティーの可能性を検討。震災後、市沿岸部の津波被災地の移転候補先にもなり、災害に強いまちづくりを目指す構想が一気に具体化した。昨年秋には構想委員会を設立。呼び掛けに応じた日立、NTTグループと実現可能性の下交渉を重ねた。

 日立は「参加企業の得意分野を生かし、復興に貢献したい」と説明。NTTファシリティーズも「より良いまちづくりを進めたい」と言う。各社は今月25日、構想委員会と本格的な協議に入る。

 大村氏は「3月をめどに実現に向けた協力体制を構築したい。(メガソーラーなど)インフラ完成後の運営に、住民が参加する仕組みも検討していく」と話す。

 太陽光など再生可能エネルギーを活用するスマートシティー構想は、被災地などで検討が相次いでいる。宮城県内では三井物産などが東松島市で、トヨタ自動車グループが大衡村での実現を目指している。