「不安払拭」盛り込む 県復興ビジョン基本理念案
【福島民報110530】東日本大震災からの福島県の復興指針作りに取り組む福島県復興ビジョン検討委員会(座長・鈴木浩福大名誉教授)は29日、復興ビジョンの骨格となる「原子力災害による影響・不安の払拭(ふっしょく)」など5項目の基本理念と「応急的復旧・生活再建支援」、「市町村の復興支援」など7つの主要施策の案を示した。今後、各主要施策ごとに具体的なプロジェクトを提案する。
検討委員会で示された基本理念と主要施策の案は【図】の通り。
基本理念には、東京電力福島第一原発事故の影響など、地震と津波で被災した岩手、宮城両県と違う本県の状況を踏まえ、「原子力災害による影響・不安の払拭」が盛り込まれた。3万人を超える県外への避難者がいることから「ふるさとへの帰還の実現」も提案された。
主要施策には、津波被害を受けた地域の復興を柱にした災害対策、被災事業者の事業再開や被災者の雇用確保、経済特区の創設による産業基盤の復旧・復興対策などが提示された。
原子力政策に対する県の姿勢を明確にした上で、太陽光、風力、水力など自然エネルギー政策の推進を本県から発信すべきとする方針も明らかにされた。
座長の鈴木教授は「委員の意見を踏まえ修正するが、基本方針はおおむねまとまった。早急に対応が必要な施策の議論をさらに深めたい」と述べた。
6月9日と15日に検討委員会を開き、主要施策の具体的なプロジェクトを協議し、7月末までに復興ビジョンにまとめる。県は復興ビジョンの内容を踏まえて12月末までに第一次復興計画を策定し、平成24年度の予算に反映させる。