女川原発、緊急電源の運用開始 海抜52メートルに3台設置
【河北新報120203】東北電力は2日、運転停止が続く女川原発(宮城県女川町、石巻市)の緊急安全対策として設置した大容量電源装置(出力4000キロワット)3台の運用を始めた。大地震や大津波で全ての電源が失われた場合に稼働させ、1~3号機の原子炉などの冷却機能を維持する。
東日本大震災で全電源が失われて起きた東京電力福島第1原発事故を受けた対応。敷地内の高台の海抜52メートル地点に昨年9月から設置工事を進めていた。
装置は軽油を燃料とする空冷ディーゼルエンジンを備えた発電機。非常時に動かして原子炉建屋に送電し、残留熱除去系の大型ポンプなどを駆動させ原子炉や使用済み燃料プールを冷却する。
装置の地下に設けたタンクには燃料となる軽油90キロリットルが入り、連続29時間運転できる。発電所内に前からあるタンクの軽油も使えば、さらに最長26日間の運転も可能という。
東北電は同日、試運転の状況を報道陣に公開した。女川原発の担当者は「将来は、より耐震性の高い別の非常用発電機を配置する計画もある。電源装置の運転訓練も継続的に行い、安全性を高めたい」と説明した。
東北電は女川原発で海抜13.8メートルの敷地に高さ約3メートルの防潮堤を建設するなどの安全対策を進めている。
女川原発は国の指示に基づくストレステスト(耐性評価)などを実施中で、再稼働の見通しは立っていない。