廃棄物処分までの配慮十分に つくばで除染回収技術報告会
【茨城新聞120117】ゼオライトをはじめとする天然鉱物などを利用した放射性物質の除去、回収技術の開発に取り組む研究者の報告会が16日、つくば市千現の物質・材料研究機構内で開かれ、同機構など5研究機関と7大学の研究者14人が最新の研究成果を報告した。福島第1原発事故に伴い、福島県飯舘村などで取り組んだ放射性セシウムを含む粘土除去の実証実験などの報告に、集まった専門家約100人が熱心に耳を傾けた。
北海道大学の佐藤努教授が冒頭、汚染状況と、除染から廃棄に至るまでの技術的な問題点を総合的な見地から解説。放射性セシウムは吸着材に集まると高い熱を出すことや水に触れると水素が発生することなど保管上の課題を挙げた。特に、除去効率を優先するだけでなく、廃棄物の処分までを考慮しなければならない必要性があることなどを強調した。
森林については、落ち葉を除去すれば最高9割まで除染を可能とされながら、福島県で降雪の時期までに大掛かりに実施されなかったことを指摘。「多くの森林は汚染されたまま。雪が解けたらどうなるか、再調査しなければならない」と懸念を表明した。また佐藤教授は、座長を務めた最後の討論で「多様な吸着材料が開発される中で、その素材を評価する機関が必要ではないか」と提言した。
報告会の内容は、文科省の科学技術戦略推進費(2011年度)で実施されたプロジェクトの研究成果。3月末で終了し、作成した報告書を文科省に提出するという。