【NHKニュース110430】東日本大震災の復興ビジョンの策定を担う復興構想会議の3回目の会合が開かれ、阪神・淡路大震災の当時、兵庫県知事を務めていた貝原俊民氏は、被災地が一体となって復興の在り方を決められるよう道州制を念頭に「東北復興機構」を設置することを提言しました。
有識者らによる復興構想会議の3回目の会合では、阪神・淡路大震災の当時、震災からの復興に当たっ た関係者らを招いて意見を聞きました。この中で、当時、兵庫県知事を務めていた貝原俊民氏は、東日本大震災の被災地は広域にわたるため、県の枠組みを超え た行政運営を行う必要があり、被災地全体を統括する自治組織を設けるべきだと指摘しました。そして、その組織については、被災地が一体となって復興の在り 方を決められるよう道州制を念頭に「東北復興機構」を設置することを提言しました。復興に当たる組織を巡り、政府は、自民党などが各省庁の機能や権限を集 約した新たな組織の設置を求めていることに配慮し、復興対策の企画立案や総合調整を担う「復興庁」の設置を検討するとしています。これについて、貝原氏 は、記者団に対し「『復興院』のような組織では、かつての官選の地方長官のようになり、地方分権の流れのなかではうまくいかないのではないか」と述べ、否 定的な見解を示しました。また、貝原氏は、復興ビジョンを実現するには、財源の裏付けが必要だとして、臨時の復興税の導入を提案し、別の委員からも「財源 の問題には、逃げずに取り組む必要がある」という意見が出されました。復興構想会議は、大型連休中に宮城、岩手、福島の東北3県を視察したうえで、来月中 旬以降、具体的なテーマを設定して集中的な検討を進め、緊急提言を行うことにしています。 貝原元知事が「東北復興機構」の設置を提言したことについて、復興構想会議の五百旗頭議長は、記者会見で「被災した3県には多様性と個性があり、1つにす るのは簡単ではないと感じる。ただ、その一方で、それを越えた対応も必要だと思うので、今後、会議の中で検討していきたい」と述べました。また、五百旗頭 議長は、復興構想会議の委員から、復興財源を巡る意見が出ていることについて「まず復興に向けて、どのような青写真をつくるかという議論を優先すべきで、 その全貌が出てこないかぎり、どういう税が必要かといった議論をする必要はない。来月の緊急提言に、財源問題が盛り込まれることはない」と述べました。
DAIAMOND onlinaの連載記事「ポスト3.11の論点 日本と日本人の選択肢」の第1回(110408)に、貝原俊民元兵庫県知事からの提言 神戸はかくて阪神・淡路大震災から立ち上がった東北6県で「広域復興機構」を設立し一体で復興を目指せ が掲載されていましたので参考に掲載しておきます。