防災柱に作業加速 陸前高田市と久慈市の復興計画
【岩手日報110518】陸前高田市は17日、東日本大震災の復興計画の策定方針を示した。有識者らによる検討委を設置し、市民や議会からの提案を受けながら11月をめど に成案をまとめる。久慈市も同日、復興計画策定に向けた復興ビジョンを提示。住民の意向調査などを行い8月までの同計画策定を目指す。被災自治体では復興 計画策定に向けた作業が加速している。
【陸前高田市】市議会全員協議会で、復興計画の策定方針を提示。基本的視点として▽防災と減災▽市街地の復興▽暮らしの再興▽地域産業の復興▽再生可能エネルギーの活用▽協働のまちづくり-の6項目を挙げた。
学識経験者ら約30人でつくる検討委を設置。市民アンケートや説明会、意見公募を行い、8月の原案作成に続いて11月をめどに成案をまとめるスケジュールを示した。
市議からは「民間による仮店舗設置などが始まり、復興計画が追い付かない事態を懸念する。民間開発を一定程度コントロールする必要もあるのでは」などの意見が出た。
戸羽太市長は「6項目の基本的視点を基に肉付けする。産業育成と減災につながる自然エネルギーの活用に力を入れたい」と語った。
同日は市内の被災状況も報告。船舶1401隻のうち97%に当たる1368隻が被災し、被害額は64億円。全壊した市庁舎10億3243万円などだった。
【久慈市】復興ビジョンは17日の市議会全員協議会で市が明らかにした。復旧期、復興期、飛躍期の3段階に分けた10カ年計画。「新たな視点による 新たなまちづくり」を副題に掲げ、自由な発想と新しい視点で復興の取り組みを進める。
内容は▽生活再建▽水産業復興▽交流人口拡大▽災害に強いまちづくり▽自然エネルギーに取り組む-の5プロジェクトに大別。各プロジェクトで生活支援の充実や就業支援、復興道路や湾口防波堤の整備など計28の重点項目を掲げる。
「自然エネルギー」プロジェクトでは、他地域にも貢献できる自然エネルギーなどの活用拠点を目指し、研究や取り組みを積極的に進めるとしている。
今後、具体的な事業を含めた素案を作成。8月10日までの復興計画策定を目指す。山内隆文市長は「他地区のモデルとなるような防災都市を目指す」としている。
(2011.5.18)