岩手県 「県、沿岸に公営住宅2500戸 12年度内の完成目指す」

県、沿岸に公営住宅2500戸 12年度内の完成目指す

岩手日報110518県は東日本大震災の被災者が仮設住宅を退去した後の住宅確保に向けて、新たに合計約2500戸の公営住宅を沿岸各地に建設する方針を固めた。高台などへの集合住宅を想定し段階的に整備。早い住宅は年度内に着工、来年度内の完成を目指している。県は被災した自宅の改 修費補助などの支援策も検討中で、県議会6月定例会に提出する補正予算案に住宅対策の関係予算を盛り込む方針だ。

 公営住宅は国の第1次補正予算で全国1万戸分の用地取得費や造成・建設費などとして1116億円が盛り込まれていた。うち本県分は約2500戸、279億円を見込んでいる。

 従来の公営住宅と同様に集合住宅を想定しており、防災機能を持たせることも検討。6月補正予算案には用地の調査費や設計費などを盛り込む方向で、仮設住宅の建設が終了する7月以降、作業に着手。早い市町村で年度内に着工、来年度末の完成を見込んでいる。

 実施主体は県または市町村だが、事業費の4分の1は地元負担が必要なため、財政力のある県が主導的に建設する見通し。今後の県や市町村の復興計画、まちづくりの事業計画などと擦り合わせながら、建設棟数や場所などを検討する方針だ。

 一方、被災者の住宅確保対策で、県は自宅の改修費補助など独自の支援策も検討中。県建築住宅課によると、新潟県が2007年の中越沖地震の際に大規模半壊で最大100万円、半壊で最大50万円を支給している例があり、本県も参考にしながら制度設計する方針だ。

 また、住宅を建て直す場合の「二重ローン」対策として、利子補給などのローンの負担軽減、宅地を安く取得できるような仕組みづくりなども検討しており、6月上旬をめどに取りまとめる。

 県建築住宅課の大水敏弘総括課長は「仮設住宅後の恒久的な住宅の確保は復興に向けた最重要課題であり、県として積極的に支援したい」としている。

(2011/05/18)

岩手県 「公営住宅2500戸建設へ 県が被災者支援策骨格/岩手」

毎日新聞110520地方版◇仮設完成後、着手

 県は、東日本大震災で自宅を失ったり浸水した被災者の住宅支援策の骨格を固めた。7月上旬までに仮設住宅1万4000戸を完成させた後、公営住宅約2500戸の建設計画に着手する方針。高台移転など自治体の復興計画をみすえながら段階的に進めるが、早ければ一部は年度内に着工、来年度内の完成を目指す。また被災した自宅の再建についても支援策の検討を進めており、いずれも県議会6月定例会の補正予算案に計上する。【狩野智彦、宮崎隆】

 県建築住宅課によると、公営住宅は国の第1次補正予算が成立したことを受け、用地確保や建設費279億円(2500戸分)が県に割り当てられる。県は、用地に関する調査や設計費などを補正予算案に盛り込む意向で、仮設住宅の建設が終わり次第、市町村と協議し用地や戸数の割り振りを決める。

 公営住宅の建設費用については4分の3を国が負担し、残り4分の1を県と市町村が持つことになっている。しかし、被災した市町村の財政事情などを考慮し、県が主導して建設することになりそうだ。今のところ宮古市以南の6市町を中心に順次建設する見込みという。

 住宅の構造は、5階建ての集合住宅が軸だが、県は木造平屋建てや2階建てなども視野に入れ検討している。市町村からは「高層化して戸数を増やしてほしい」との要望があるが、「高層化すれば建設費がかさむので簡単にはいかない」(大水敏弘・県建築住宅課総括課長)という。

 一方、被災した自宅の再建支援については、新潟県が07年の中越沖地震の際、全壊で100万円、半壊で最大50万円を支給した例を参考に枠組みを決めていく予定。「二重ローン」を抱える被災者も考慮し、利子補給などの負担軽減や、新たな場所に土地を購入する場合、割安に購入できるよう支援策を検討してい る。