宮城県の借り上げ仮設 契約成立23%止まり
【河北新報110823】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度をめぐり、宮城県内の2万1537件(16日現在)の入居決定件数に対し、契約に至ったのは5011件(23%)にとどまることが22日、分かった。このうち家賃の支払い手続きを終えたのは1206件で、3805件が未納状態になっている。
入居が決まっても県と家主の契約が完了するまで、被災者は原則として入居できない。制度開始前に既に入居した被災者もいるが、県との契約に切り替えが済むまで自己負担を強いられる。両者は合わせて1万7000件近くに上っている。
県によると、1件の契約を成立させるには家主との契約に加え、生活必需品として支給されるエアコンや照明など物品の納入業者、火災保険を扱う損保業者との契約も必要。借り上げ契約1件当たり、4件程度の契約を伴うケースもあるという。
県の人員体制の問題もあり、事務処理が追い付かない状態が続いている。県震災援護室は「契約書に不備がある例も多く、手続きは滞りがちになる」と説明する。
県は今月8日、応援職員を含む約60人態勢に増強し、事務処理に全力を挙げている。今後は事務手続きの民間委託も検討する方針。
民間借り上げ仮設住宅の入居決定件数は、県が整備するプレハブ仮設住宅の戸数(約2万2000戸)とほぼ同数となっている。