【東京新聞110802】東京電力は一日、福島第一原発で、毎時一万ミリシーベルトの放射線を発する地点が見つかったと発表した。検出されたのは、1、2号機の原子炉建屋の間にある主排気筒につながる非常用の配管の表面で、これまでに同原発内で検出された中で最高の線量。七〇〇〇ミリシーベルトを全身に浴びると100%死亡する。東電は、事故発生直後の三月十二日に行った1号機の格納容器から排気(ベント)した際、放射性物質が付着した可能性が高いとみている。
東電は七月三十一日に排気筒周りのがれきの撤去を終え、放射線量がどれほど下がったかを確認するため、1、2号機の間にある配管の根元をガンマカメラと呼ばれる特殊なカメラで撮影。
高い線量が確認されたため、東電の社員三人が一日午後二時半、現場から三メートルほど離れた場所から、棒の先に線量計を取り付けて測った。
この線量計の測定上限は一万ミリシーベルトで、振り切れたため正確な数値は分からない。放射線量が一万ミリシーベルトを超えている可能性もある。作業員の被ばくは最高で四ミリシーベルトだった。
東電は現場を鉄板で囲い、目印を置き立ち入り禁止にした。現時点で、排気筒からの放射性物質の漏れは確認されていないという。
現場付近では、収束作業は予定されておらず、1号機を覆うカバーの設置も遠隔操作のクレーンで行うため、工程表への影響はないとみている。
福島第一原発内では、これまでに検出された放射線量の最大値は毎時四〇〇〇ミリシーベルト。六月四日に1号機原子炉建屋一階の南東部で検出されていた。
◆揮発し内側付着か
京都大原子炉実験所の山本俊弘准教授(原子炉物理)の話 揮発したセシウムなどの放射性物質が水蒸気などと一緒に排気筒を通るとき、筒に触れて冷やされると固体に戻り、内側にくっついたことが考えられる。その後の雨や水蒸気などで、筒内に付着していた放射性物質が流れ落ち、排気筒の根元にたまっている可能性があるのではないか。
◆作業員被ばく注意
山口彰大阪大教授(原子炉安全工学)の話 ステップ1や2の工程に直接的に影響は及ぼさないだろうが、作業員の被ばくが増えないよう気を付けなければならない。こういった線量の高い場所が排気筒のほかにもあると考えられる。よりきめ細かなモニタリングが必要だ。