新地駅、内陸に移設検討 JR常磐線、復旧でルート変更
【福島民報110603】東日本大震災で津波被害を受けたJR常磐線の復旧は、新地駅と坂元駅(宮城県山元町)を内陸側に移設し、路線ルートも変更することを軸に検討される見込みとなった。東北運輸局が2日発足させた相馬駅-亘理駅(宮城県亘理町)間の復興調整会議で、復旧に関しJR東日本と沿線自治体が内陸側への移設の認識を示した。
相馬-亘理間約28キロのうち沿岸部を走る駒ケ嶺駅(新地町)-浜吉田駅(亘理町)は【別図】の通り津波被害を受けた。
駅舎が流失した新地町、山元町は「原状回復による運行再開は安全性確保の視点から厳しい」との見方を示し、JR側も「駅舎は生活基盤がある場所に設けたい」としている。このため居住地域再形成など各自治体の復興プランに沿って駅舎を内陸側に移設し、新たな路線を構築する方向で検討が進む見通しだ。
一方で用地確保にかかる費用、年月やルート変更に伴う技術的な対応などの課題もある。座長の岸谷克己東北運輸局鉄道部長は「実現までは相当難しい調整が必要になる」との認識を示した。
復興調整会議は関係機関の情報交換の場として設けられ、仙台市で初会合を開いた。同運輸局とJR、相馬市、新地、亘理、山元の3町、本県、宮城県の課長級ら約20人で構成する。月一回程度開催していく方針。同会議は先にJR仙石線でも設けられた。