宮城県 「津波の威力は地震の3倍 東北工大で震災研究のシンポ」

津波の威力は地震の3倍 東北工大で震災研究のシンポ

東日本大震災に関する研究が報告された
東日本大震災に関する研究が報告された

河北新報11731】東北工業大の研究者らが東日本大震災についての研究成果などを報告するシンポジウム「大震災を振り返り、今直面している課題を考える」が22日、仙台市太白区の同大八木山キャンパスで開かれ、学生や地域住民ら約100人が参加した。
 建築学科の薛松濤教授は、津波による沿岸部の建物被害などを説明。若林区荒浜では、建物の基礎のボルトの曲がり方などを調べ、津波で受けた力を計算した。
 ある1棟の建物では津波によって受けた力が、地震で受ける力の約3.1倍だったことが判明。サンプルが少ないため、今後さらに調査を進め、建物に対する津波の威力をまとめるという。
 都市マネジメント学科の高橋敏彦教授は、仙台平野の津波調査結果を報告した。亘理町、名取市、若林区荒浜、仙台新港の4カ所で浸水と海岸からの距離、家屋被害の関係を調べた結果、どの場所も海岸から1キロ付近までは、地面からの浸水高が2メートルほどだったことが分かった。海岸から1キロ以内、浸水高2メートル以上の地域はほとんどの建物が半壊以上だったという。
 安全安心生活デザイン学科の田中礼治客員教授は、揺れによる建物被害に触れた。建築基準法の効果で建物本体への被害が少ない一方で、天井など非構造部材の被害が大きかったことを指摘。「努力した部分は大丈夫だったが、非構造部材のように努力が足りなかった部分は駄目だった。努力が足りなかった点は、正しい方向性を示す必要がある」と述べた。