岩手県 「県が4復興特区創設へ 産業再生を柱に国に申請」

県が4復興特区創設へ 産業再生を柱に国に申請

岩手日報120101】県は東日本大震災からの復興に向けて、新規立地企業の法人税が5年間免除となる「産業再生特区」を柱に、県内に四つの復興特区を創設する方向で検討に入った。特区の活用を希望する市町村と共同で復興推進計画を作成し、今月末にも国に申請する方針だ。国の特区制度は復興の起爆剤として注目されており、規制緩和や優遇税制などを通じ、企業誘致促進や地場産業振興に期待が高まる。

 県が創設を目指すのは「産業再生」のほか「再生可能エネルギー利用促進」「保健・医療・福祉」「復興まちづくり」の三つ。県は10の「岩手復興特区」の創設を掲げているが、重点4分野に再編し、先行して申請する。

 特に期待するのが産業再生。特区が認められれば新たに進出した企業の法人税が5年間免除されるほか、企業が被災者を雇用した場合に給与の10%を法人税額から控除される特例もある。さらに、設備投資費や研究開発費についても特別償却や税額控除などの有利な措置が受けられる。

 県は、特区の対象となる産業集積地域を沿岸12市町村に加え、北上川流域などの内陸自治体にも広げる考え。可能な限り広い範囲が認定されるよう国と調整を行う方針だ。

 被災地の復興に向けては産業再生による雇用の創出が鍵を握る。特区で県が想定するのは水産業や波及効果が大きい自動車関連などものづくり企業の振興で、有利な税制などをてこに企業誘致を積極的に展開する方針だ。

 また、再生可能エネルギー特区は小水力発電導入の手続きの簡素化、保健・医療・福祉特区は医療従事者の配置基準の緩和などを想定。優遇税制などを生かした新たな関連産業の誘致も目指す。復興まちづくり特区は都市計画の用途制限の緩和や手続きの簡素化などの特例が受けられる。

 ほかに「教育振興特区」と「国際科学技術研究特区」の二つも検討中。ただ、これらは国が想定する特例措置に入っていないため、特区として追加できるよう国と地方の協議会で提案する考えだ。

 県は昨年末、復興特区制度に関する事務を専門に担う部局横断の「復興特区プロジェクト・チーム」を設置、年明けから本格的な作業に着手する。今月上旬まで、内陸部を含めた全市町村に対して特区活用の意向調査を実施し、下旬から始まる申請に必要な復興推進計画を希望自治体と共同作成する方針だ。