県道塩釜亘理線の東側など災害危険区域に 仙台市方針
【河北新報110916】仙台市は15日、震災で津波被害を受けた東部沿岸地域について、宮城野、若林両区の海岸沿いを南北に走る県道塩釜亘理線の東側を住宅の新築や増改築ができない「災害危険区域」に指定し、集団移転を進める方針を固めた。16日に開催される市の震災復興検討会議で協議する。
指定区域は、塩釜亘理線の東側全域と、西側のうち今回と同規模の津波が襲来した場合に深さ2メートル以上の浸水が予想される若林区井土、種次の一部の計約1500ヘクタールを想定する。宮城野区の白鳥団地も深さ2~4メートルの浸水が見込まれる地区があり、新築や増改築の際には2階建て以上とするなどの緩やかな建築制限を設ける見通し。
移転対象は、最大約2400世帯。移転先は、これまで示してきた若林区の荒井(地下鉄東西線駅周辺)と下飯田、宮城野区田子の3地区に加え、地元から要望がある宮城野区岡田地区の塩釜亘理線西側や、若林区荒井の仙台東部道路東側なども候補にする。
市は沿岸地域の減災に向けて、東北大や米IBMと「津波浸水シミュレーション」を共同開発している。その過程で国と県がそれぞれ整備する堤防に加え、塩釜亘理線を盛り土で6メートルかさ上げし、「二線堤」とすることで内陸部の浸水被害を軽減できることが分かり、検討を進めていた。
国の防災集団移転促進事業を活用する方針で、現行制度では10戸以上の移転が条件。市が用意した土地を被災者が買ったり、賃借したりして自費で住宅を建てる。建設費借入金の利子補給や、移転費用の補助がある一方、被災地の地価は大幅に下落しており、市は要件緩和や補助増額などの救済策を国に求めている。
市は24日から宮城野、若林両区沿岸部の28町内会を対象に、まちづくりの検討状況を報告する地元説明会を開き、今後の対応を話し合う。