住民外部被ばく最高37ミリシーベルト 福島第1原発事故調査
【河北新報111210】東京電力福島第1原発事故で、福島県浪江、川俣、飯舘の3町村の住民約1730人が4カ月間で受けた外部被ばく線量は、推計で平均1ミリシーベルト強、最高約37ミリシーベルトだったことが9日、県への取材で分かった。住民の外部被ばくの実態が判明するのは初めて。
この推計値は、県民健康管理調査で住民が自ら記入した行動記録を基に、文部科学省の測定や緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による各地の空間放射線量を参照し算出された。
推計値からは自然被ばく線量は引かれているが、内部被ばくを考慮しても、がんなどの健康リスクが高まる100ミリシーベルトに達した人はいないとみられる。
県立医大によると、約1730人のほぼ半数が1ミリシーベルト未満。残りは、4カ月間で平常時の年間限度1ミリシーベルトを超え、5~10ミリシーベルトが約40人、10ミリシーベルトを超えたのは約10人で最高が約37ミリシーベルトだった。
推計値が高かった住民の中には、原発事故の収束作業に加わっていたとみられる人も含まれており、県は「どのような状況で被ばくしたのかを精査したい」としている。
全県民約200万人が対象の健康管理調査は6月から、計画的避難区域などに指定された浪江町、川俣町山木屋地区、飯舘村の住民計約2万9千人を対象に事故以降の行動記録を基に被ばく線量を推計する先行調査を実施。
県は健康管理調査の流れで、警戒区域などの避難住民から子どもや母親のほか、農業や建設業など屋外作業が多い人も選び、全身の内部被ばく線量を測るホールボディーカウンターや尿検査で調査を進めている。
◎健康影響なし
NPO法人放射線安全フォーラムの多田順一郎理事(放射線安全)の話 放射線業務に携わる作業者は5年間で100ミリシーベルト、うち、どの1年間でも50ミリシーベルトを超えてはならないという安全基準がある。作業者も一般人も同じように放射線の影響を受けるので、その点から考えても37ミリシーベルトは健康に影響がないと考えられる。今回の調査はあいまいな記憶を基にした数カ月前の行動記録から推測しているので、外部被ばくの大まかな目安として受け止めるべきだ。このレベルの被ばく線量で、数字を気にしすぎて悩む方が精神的によくない。