仙台市、集中経済施策86億円 732社から聞き取り
【河北新報110607】仙台市は6日、東日本大震災で冷え込んだ経済を立て直すため、総額86億6000万円の「集中経済施策」を発表した。被災した中小企業に3年間返済を猶予する融資制度、製造施設の現地復旧に対する補助制度を新設するほか、商店街が主催するイベントへの助成を拡充。資金繰りの悪化、交流人口の減少といった直近の課題に対応する。
集中経済施策は、(1)企業経営と事業再生の応援(2)にぎわいの創出(3)早期の営農再開(4)緊急雇用対策―を柱に16項目を掲げた。中小企業の支援策として、罹災(りさい)証明を受けた事業者が市の災害関連融資制度を利用する際、返済を3年間猶予し、期間中の利子と保証料を市が支払い、返済期間も3年間延長する。
製造業では、被災した中小企業が1000万円以上を投資して現地での建て替えや設備の更新を行う場合、固定資産税相当額を3年間交付する。津波で甚大な被害を受けた仙台港地区は、対象を大企業にも広げる。
農業分野では、津波で浸水した東部農地で田畑に堆積したがれきなどを本年度内に撤去する。取扱高が減少した中央卸売市場では、関連事業者の施設使用料を本年度末まで2分の1を減免する。
東北の夏祭りが集結する「東北六魂祭」、観光PR集団「伊達武将隊」の全国キャラバンで観光業を底上げし、地元の名産品をギフト商品として採用してもらう販促キャンペーンも展開する。
また、緊急雇用対策として2000人分の予算枠も確保。即戦力型の人材育成事業で雇用のミスマッチ解消を目指す。
記者会見した伊藤敬幹副市長は「市内732社に4月中旬、緊急の聞き取り調査を実施して課題を把握した。仙台、東北のいち早い復興に向け、スピード感を持って施策を進めたい」と述べた。