【朝日新聞110929】経済産業省資源エネルギー庁が、九州電力玄海原発(佐賀県)の運転再開について説明したテレビ番組で、番組への投稿意見数を117件少なく公表していたことがわかった。実際の総数の17%に当たる。公表分では再開賛成が反対を大幅に上回っていたが、総数ではその差が縮んでいた。
エネ庁などによると、番組は6月26日に佐賀県民向けにケーブルテレビなどで中継され、メールなどによる視聴者らの意見や質問も紹介した。番組後、エネ庁は投稿意見が計589件で、内訳は賛成286、反対163、その他140と公表したが、これは途中集計だった。最終集計は計706件で、内訳は賛成302、反対241、その他163だった。
賛成意見から九電などの「やらせメール」141件を除くと、途中集計、最終集計ともに反対が賛成を上回るが、その差は途中が18件、最終が80件だった。
投稿意見の中には「九電社員は賛成意見を送るよう命じられている」などと、やらせメールを告発するものもあった。この投稿は当初公表分に含まれ、エネ庁は投稿内容を見て賛否などを分類していたが、対応せずに放置していた。
エネ庁の原子力発電立地対策・広報室は「数字を隠す意図はなく、番組後の記者会見に間に合うよう途中集計を公表した。最終集計も公表すべきだったが、考えが及ばなかった」と釈明した。告発については「賛否別などの分類はしたが、内容は精査せず把握していなかった」と話している。