震災忘れゆっくりして 福島の2家族 夏休み黒部に避難
【中日新聞110725】福島県の郡山市と伊達市の二家族が二十四日、東京電力福島第一原発事故の放射線被ばくから子どもたちを遠ざけるため、黒部市のファスナー製造会社「YKK」の社宅に、夏休み中の一時避難した。同県内の子どもたちを支援する「富山SAVEふくしまチルドレン」が仲介し、被災者受け入れ事業をしている黒部商工会議所の協力で実現した。
一時避難したのは、郡山市の会社員古川藤三郎さん(52)の妻邦子さん(46)と長男の小学四年裕貴君(9つ)、伊達市の会社員霜山茂さん(39)の妻恵さん(33)と三人の子どもとめい。両家族とも黒部市に来たのは初めて。
二家族とも車で黒部入りし、商議所で受け入れ態勢などの説明を受けた。植木直人商議所副会頭は「黒部は地震がなく、震災のことは忘れてゆっくりしてください」と述べた。
社宅の部屋には、商議所とYKKがそろえた冷蔵庫などの電気製品や布団セット、鍋や歯ブラシなどの生活用品がそろい、すぐにでも生活できる状態。二家族は「こんなにしてくれるとは」と感謝していた。
郡山、伊達両市とも原発から約六十キロの距離。古川邦子さんは「学校では屋外にいる時間も制限され、汚染が心配だった。外に出ても心配しないで遊べるような普通の小学生らしい夏休みを過ごさせたい」と語った。霜山恵さんも「今月一歳になったばかりの小さい子もいる。子どもたちは外でマスクをしないでいいので、のびのび遊んでほしい」と、一時避難生活への思いを語った。