京都支部ほか 「東日本大震災学習会」 を開催

日 時:2011年5月28日(土) 午後1時30分~4時30分

会 場:生協会館 4階 第1会議室(京都市中京区烏丸夷川東入 西九軒町291)

主 催:まちづくり市民会議、日本科学者会議京都支部、国土問題研究会、新建築家技術者集団京都支部

東日本大震災学習会・案内.pdf
PDFファイル 232.5 KB

当日資料

深尾正之:原発を考える.pdf
PDFファイル 2.7 MB
深尾正之:福島原発事故とエネルギー危機 ver142.pdf
PDFファイル 3.5 MB
松木康高:新建震災復興支援会議からの報告.pdf
PDFファイル 6.4 MB
別紙1:新建復興支援会議の今後の活動.pdf
PDFファイル 115.0 KB
別紙2:東日本大震災の現地状況と石巻市十三浜地区の結による復興の芽生え.pdf
PDFファイル 65.3 KB
別紙3:災害対策マニュアル・案内.pdf
PDFファイル 909.0 KB
まちづくり市民会議第17回総会・案内.pdf
PDFファイル 19.8 KB

当日の様子

(2011/05/29 23:10), wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0381] 東日本大震災学習会(京都)

> 本多です。
> 昨日(5・28)京都で開催された「東日本大震災学習会」の簡単な報告です。
>
> この集会は、新建京都支部とまちづくり市民会議、日本科学者会議京都支部、国土問題研究会の共催で開催されました。
>
> 地域の他の専門家団体と共催で、ある集会に取り組むことは、その集会自体も多様な参加者があって「ふくらみ」を持つことはもちろん、今後の活動にも大きなプラスがあると思います。
>
> 司会は新建の片方さん。
>
> 0:初めに、主催者を代表して「まちづくり市民会議」の中島晃弁護士が挨拶を行いました。
> 短い挨拶ですが、非常に重要な指摘でした。
>
>  簡単に紹介します。題して「大逆事件100年と福島原発事故」
>   この事故は1911年の大逆事件に始まった日本社会の構造的なゆがみから、ひきおこされた人為的な災害である。戦前の治安維持法の、国策に反対する言論を封じ込めようとする体制は戦後も継続してきた。その結果が、原発事故である。
>
> 1:主報告の前半は日本科学者会議の深尾正之さん「原発を考える」
>
> 原子炉の停止後の崩壊熱の話をはじめ、今回の原発事故の原因・背景・解決方向など詳しくて明快な報告でした。
>  今後の方向として、電力の「送電」と「発電」を(企業)分離して、「発電」は自由競争にすればよい、そうすれば原発をやる会社はない、(当然60サイクルに統一すること)と提案しました。
>
> 2:主報告の後半は新建復興支援会議の事務局次長・松木康高さんによる「新建・復興支援会議からの報告」
>
> この報告の内容は、皆さんがご存知のことですが、
> (1)新建の取り組み
> (2)被災地の状況と支援の動き
> (3)復旧・復興についての政策等の動き
> (4)自分たちに何ができるか
>
> 以上の4章に分けて、手際よく報告しました。とくに、被災地に実際に行ってきたスライドと報告が皆さんの関心を集めました。
>
> 3、質疑・討論
>
> 報告が予定時間どおりに済んだので、質疑討論の時間がかなり取れました。会場からの質問はやはり原発問題が多かったのですが、その中に、次の質問(意見)がありました。
>
> 「日本科学者会議は当初から原発の危険を指摘されてきたが、なぜ今回のような大事故が起きてしまったのか。国民に広く訴えて運動して、もっと前になんとかできなかったのか。論客は多いが行動は・・・」(科学者会議に批判的という感じでなく、善意の質問らしかった。)
>
> これは民主的な運動団体に対する、かなり本質的な質問で科学者会議の深尾先生も返答に窮したような様子だったが、同じ性格の問題は、建築とまちづくり専門家団体である私たちにも向けられたように感じた。
>
> <もっとたくさんの質問と返答は長くなるので、ひとまず報告はここまでとします。他の参加者から続報をお願いします。>

(2011/05/31 14:42), wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0397] Re: 東日本大震災学習会(京都)の資料

> 本多です。
> 榎田さん、学習会の準備、お疲れさま。
> 資料も全部、アップしていただいたので、参加できなかった皆さんにも内容がよく伝わると思います。
>
> 最初の中島弁護士の開会挨拶は(資料にはないので)、あらためて紹介します。
>
> (全文でなく要約です。)
>
> 中島晃:「大逆事件100年と福島原発事故」
>
>
> 今年は大逆事件で幸徳秋水ら24人に死刑判決がくだされてから丁度100年になる。100年後に原発事故が起こったことは決して偶然ではない。
>
> 国策に反対する思想や言論を封じ込めようとする体制は戦後も継続した。刑罰による弾圧は影を潜めたものの、非常に陰湿な形で、異論や批判を封じ込めようとするやり方がとられていた。
>
> 東京大学などでは原発を批判する研究者に教授ポストを与えなかった。教授ポストは原発政策を推進する”御用学者”に占められてきた。
>
> 原発推進を批判する者を敵視し、その行動を日常的に監視し、村八分にする異常な体制下で、「安全神話」が作られ、事故は起こるべくして起こり、起こった事故への対応まで歪めている。・・・
>
> 異論や批判を徹底的に排除するという、日本社会の歪んだ構造が根本的に改められない限り、福島原発事故に見られる不幸な厄災は、これから何度もふりかかることになろう。
>
>
> この文章が載っている(自由法曹団通信2011・5・11)のコピーが配布された。

(2011/05/31 18:26), wrote:
Subject: [fukkoushien_nuae:0402] 汚染水の計算(Re: 学習会(京都)の資料

> 本多です。
>
> 京都での学習会で、科学者会議の深尾先生から「崩壊熱」の量の話などを聞いていたので、今日の国会中継の「汚染水」の差し引き計算のトンチンカンさが分かって面白かったです。
>
> 深尾先生の話は、復興支援会議HPにアップされるそうですから、それを見たほうが正確にわかりますが、ここでは、私のメモから。
>
> 原発について(深尾先生の話)*本多感想
>
> ・原発の特殊性
> (1)  火力発電では燃料供給を止めれば発電は安全に停止。原発では、制御棒で核分裂連鎖反応は止まるが、炉内の燃料は熱と放射線を出し続ける。この熱と放射線を止めることはできない。
> (2)  原発では、事故などで発電を停止しても、炉内に大量の(まだ使用中の)核燃料が残っている。これが危険だが、事故の場合は取り出しが困難。
> (3)  使用済みの核燃料に大量の放射性物資(死の灰)が含まれているが、その処分方法がない。(原子炉建家の中に大量の使用済み燃料が貯蔵してあるのは建前は「一時的」ということだが、実は廃棄場所がないからである。)
> *なるほど、それで停止中の原発(4号機)にも大量の使用済み各燃料があったのか。
>
> ・炉停止後の崩壊熱
> 「崩壊熱」は長期間、出続ける。(燃料が高温だから、それに水をかけて冷却すればよい、ということでなく、熱が出続ける。)その熱量は、福島第一の1機(2号~5号)で、停止後100日後でも3,80㎥/h(1時間に3,8トンの水を蒸発させてしまう熱。1日にすれば、91,2トンである。つまり、1機に1日に90トンの水をかけても全部蒸発してしまう熱量を出している。)冷却しなければすぐ高温になる。
>  燃料の水面から出た部分は1039,7℃になる。
> *この説明はわかりやすかった。90トンの水を蒸発させる熱量とは、大変なものだ。
>
> ・放射線被爆の曖昧さと難しさ
> 放射線はある量以上浴びると誰でも(全員が)死ぬ、あるいは重症になる。これはわかりやすい。しかし、低い量の被爆では、確率で(発癌などの)被害が出る。
> たとえば発症率0,0025%とすると、100人の工場での被爆ならば1人の患者が出る確率が0,25%だから、まず「影響なし」と言える。しかし東京圏(1500万人)が被爆したら375人の患者が出る。これは無視できない。しかも、癌患者を診察しても放射線の影響か、他の原因か区別できない。事故の10~20年後、統計で癌の発症率上昇は確実にわかるが、どの患者に(事故責任者が)補償すべきか特定できない。
>  放射線被爆には、ALARA(As Low As Reasonably Achievable=合理的に達成できる範囲で、できるだけ低く)という考え方が世界的に合意されている。とはいえ具体的許容基準も必要ということで1mSv/年とされている。
>
> ・今回の事故の経過について
> (これにも、マスコミ報道とは違う、いろいろな問題があった。ここでは省略)
>
> ・将来のエネルギーについて
> EUの多くの国は、原発はやむを得ず使っているが可能な限り自然エネルギーに還ることを公表している。日本だけが飛び抜けて自然エネルギーに無関心である。
>  菅首相も言う「送電」と「発電」の分離はぜひ実現すべきである。発電は市場原理で効率化を図る。熱を使う企業が、まず発電して、その廃熱を(事業に)使えば、効率は高まる。
>
> ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>
> 以上は深尾先生の話のメモですが、上の方にある「崩壊熱」のところに、
> 事故から100日後で1日90トンの水を蒸発させる熱量とありますね。
>  
> これは100日後の発熱量で、
> 事故直後はもっと大量でした。
> 深尾先生の表では、1日後は26,58㎥/h(1日で638㎥の水を蒸発させる熱)
> 10日後は11,39㎥/h(1日で273㎥)
> 30日後は 6,83㎥/h(1日で153㎥)
>
> 現在、事故後80日なので、以上を計算すると(面倒なので10日までは少なめに10日後の量で計算して、273x10=2730㎥(トン)
>
> 11日目から(30日後を挟んで)50日目までの40日間は、
> 153x40=6120トン
>
> 51日目から80日目までは、少なめに100日後の量を使って、
> 90x30=2700トン
>
> 以上を合計すると、少なめに見て、11550トンの水を蒸発させるだけの崩壊熱が出たはずである。
>
> ■以上の知識をもとに、今日の国会の野党質問を見る。
>
> 浅尾慶一郎(みんなの党)が、3号機を例にして当初からあった水と、注水した量、排出した量などを差し引き計算すると「4270トンの水が行方不明である。
> これは汚染された水だ。こんな大量の水が行方不明とは、政府は何も把握していないのか?」と質問し、追求した。
> 政府側は、明快に返答できずあれこれ言っていたが、質問者も「そういう点もきちんとしてくれ」くらいのところで次の質問に移った。
>
> 上の計算で(少なく見積もっても)これまでに1機で1万トン以上の水を蒸発させているはずなのである。差し引き計算で4000トン少ないなどは、おかしくない、というより「計算がおかしい」程度の話である。
>
> どうやら、質問者も答弁者も、核燃料の崩壊熱の量を全然わかっていないらしい。
>
> 共産党の不破さんが、以前、原発問題で政府を追求して、一番困ったのは「政府側があまりにも原発のことを知らないことだ。」と書いているが、そういうことか。