建まち誌2月号で紹介した枚方市駅周辺再整備を考える市民運動のその後の報告です。2月号では、昨年9月に市役所移転条例案が議会で否決され、バラバラに活動していた市民グループのネットワーク化を図るべく、11月、12月に個別に学習会を開催して共同を呼び掛け、1月に代表者会議を開催し、2月に大集会を計画したところまで報告しました。
2月11日に4団体で構成する「枚方のまちづくりを考える市民ネットワーク」主催で「市役所移転と周辺のまちづくりを考える学習会」を開催しました。新建でチラシを作成し各団体で約2万枚配布しながら精力的に参加を呼びかけました。各団体の読みを合計した参加者は多くて70名程度だろう、余ればあちこちに配布することにして資料は100部用意しようということでメインの資料と参加者アンケートは新建が作成し、各団体の活動紹介や市会議員の議会報告などをそれぞれ準備しました。チラシに申込みQRコードを付けてオンライン参加も受け付けるなど、今どきの手法も駆使して可能な限り宣伝に力を入れて当日に臨みました。そして当日フタを開けて見ると、なんと現地120余名、オンライン20余名で計150名を超える参加者があり、資料は不足するは、立ち見は出るはで、うれしい大混乱という感じになりました。新建からこの開発の問題点として一部の民間企業に利する道理のない、制度を悪用した開発であり、高層ビルが建てば日影やビル風の問題は避けられない(2月号参照)などを説明し、市民のまちづくり運動の重要性を提起しました。各市民団体からはこれまでの活動と今後の運動の方向性の報告、市会議員からは当局が見込んでいるスケジュール(2024年3月に都市計画決定)などの説明があり、会場からはたくさんの発言がありました。
市職労委員長や枚方社保協(社会保障推進協議会)会長などからも共闘の発言があり、あっという間に2時間半が過ぎ、最後に、ともに運動をひろげていきましょう、と締めくくって閉会しました。アンケート回答は64票、建まち2月号予約販売4冊という成果もありました。当日の模様は専用ホームページ(https://f-hirakata.com)からユーチューブで見ることができます。
後日、今後の活動について相談しましたが、3月議会では市役所移転条例の再提出はないだろう、4月に市議会議員選挙があるので、この問題を争点に引き上げ、条例に反対する議員を増やそう、ということで当面は各団体で活動し、8月の市長選挙に向けて5月ごろから、ネットワークとしての動きをつくろうということになりました。
ところが、市は3月議会初日(3/3)の全員協議会で突然「改定案」を出してきました。駅前広場と70年代の再開発ビル(サンプラザ1号館)を含む、市街地再開発事業を予定している②街区と、公園を含むほとんどが市有地で土地区画整理事業を予定している④街区の境界線を変更し、公園(約5,000㎡)を②街区に組み込んだ案です。これはサンプラザ1号館の建て替え負担軽減に資する保留床を大量に造るための再開発用地を確保しようという狙いであることは明らかです。しかも説明図では議会で否決された市役所の移転案がそのまま表現されています。市会議員からこの情報がもたらされ、4団体で急遽集まってこの狙いを説明して対策を検討し、「緊急学習会」を開催しようということになりました。
開催は3月18日、宣伝期間が短かいので参加者は30名くらいだろうと、前回のような広い部屋は予約していなかったのですが、この回も予想を上回り現地40余名、オンライン20名程度と60名あまりの参加で部屋はいっぱいになりました。最悪のシナリオCGを作成して前述の「改定案」の狙いを説明し、全国的に公園が開発に利用されようとしている現状を報告しました。区画整理・再開発対策全国連絡会議事務局長の遠藤哲人さんがオンラインで参加されていたので、会場発言として神宮外苑前の開発に対する専門家と市民の反対運動について話してもらいました(区画・再開発通信4月号に掲載されました)。一般市民の発言も多く、終了後にはある政党の「枚方勝手連」の活動をしているという2人の子育て世代の女性が「同じ意見だ、私たちのニュースに2/11の動画QRコードを載せて拡散させてもらってる」と話しかけてくるなど、少しずつ着実に市民の中で広がってきていることが感じられました。
3月末からパブリックコメント募集が始まったので、新建で作成したサンプルコメントを各団体が拡散し、みんなで意見を出そうという運動を展開しています。市議会議員選挙結果は楽観を許さない状況ですが、8月末頃の市長選挙も見据えながら、まずは今年度末の都市計画決定を阻止すべく運動をひろげていきます。なお、本誌2月号を読んだ市民グループの一人から建まち購読の申し込みがありました。(大阪支部・大槻)<建築とまちづくり誌から抜粋>